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川に流れる化学物質は、何に影響する? 届出量と水質の読み方

2026-09-17 更新

ほう素、亜鉛、ふっ素、農薬など、川のページで見かける化学物質。魚や人への影響、環境に残りやすいもの、浄水場で取れるもの・取りにくいものを解説します。

川のページに並ぶ「ほう素化合物」「亜鉛の水溶性化合物」。知らない名前と大きな数字を見ると、何が流れているのか気になります。

ここに載っているのは、事業所が届け出た1年間の排出量です。亜鉛のような金属だけでなく、溶剤や農薬なども含まれます。影響を知るには、量に加えて「どんな物質か」「川ではどのくらいの濃度か」を見る必要があります。

気になる物質から読む

川の届出でよく見かける物質を中心にまとめました。すべての届出物質を網羅したものではありません。

「年間100 kg」と「1 Lに何mg」は別の数字

年間100 kgという届出があっても、川の水1 Lに何mg入っているかは分かりません。川の流量、排出の時期、放流口からの距離、ほかの流入や地質の影響によって濃度は変わります。

同じ年間量でも、少しずつ流れる場合と、短時間に集中する場合では、生きものが受ける影響も違います。排出量が多い順の一覧は、危険な順の一覧ではありません。

PRTRは排出を減らすための手がかりになる制度です。届出の対象外の事業所や家庭などの排出は国が別に推計しており、このサイトの事業所一覧が流域のすべての排出源を表すわけではありません。環境省「PRTRの仕組み」

測定結果をそのまま足した数字とも限らない

排出量には実測濃度と排水量から計算した値のほか、計算や推計による値もあります。一般の算出ルールでは、測定値が「検出下限以上・定量下限未満」なら定量下限の半分を使い、検出下限未満ならゼロとして計算します。ダイオキシン類には別の扱いがあります。

つまり、一覧の数字だけから「川でこの物質がこの濃度で検出された」とは言えません。個々の事業所がどの方法で算出したかも、この一覧だけでは分かりません。環境省「排出量・移動量の算出に関するQ&A」

魚への影響と、人への影響を分けて考える

魚や藻などは川の水に直接さらされます。飲み水としての健康影響は、浄水処理を経て、どの濃度の水をどれだけの期間飲むかで考えます。水生生物を守る基準と水道水の基準は、目的も調べる場所も違います。

たとえば亜鉛は人に必要な栄養素ですが、水生生物にとっては濃度が高くなると生存や成長への影響が問題になります。一方、マンガンでは水の色や着色も水道での管理対象です。「基準値」はどれも同じ意味の危険ライン、というわけではありません。亜鉛・銅・マンガンを詳しく読む

水の中だけでなく、泥にたまるか、分解されにくいか、生きものに取り込まれて食物連鎖を通じて濃縮するかも、環境負荷を考えるうえで重要です。水銀やダイオキシン類では、こうした経路も見ます。

浄水場では何をしている?

川の水を飲める水にするには、濁りを集めて沈める「凝集・沈殿」、砂などを通す「ろ過」、塩素による消毒などを組み合わせます。必要に応じて活性炭やオゾンなども使いますが、消毒できることと、化学物質を取り除けることは別です。

マンガンは酸化して粒子にしてから取り除く方法、ほう素は専用の吸着・イオン交換や逆浸透膜などを検討する場合があり、物質によって対応が違います。各記事では処理方法の例を紹介しています。この川から取水する浄水場に、その設備があると確認したものではありません。WHO「浄水処理の方法と性能」

さらに、水から取り除いた物質が、汚泥や使用済み活性炭などに移る処理もあります。回収したものを適切に処理するところまでが必要です。川へ出す前の工程で使用量や排出量を減らすことにも意味があります。環境省・排出量算出Q&A(6-2-3)

自分の街の水を確かめるには

飲み水が気になるときは、水道事業者の「水質検査結果」で、原水と浄水・給水栓のどちらを測った値かを確かめます。検査した日、項目、単位、「未満」の表示も一緒に見てください。飲み水の基準は、環境省の水質基準一覧で確認できます。

川そのものへの影響を知りたいときは、自治体の「公共用水域水質測定結果」を探します。このサイトのBODやCODの数値だけでは、個々の化学物質の濃度は分かりません。魚や泥への蓄積が問題になる物質では、水の検査とは別の調査結果が必要になることもあります。

川のページへ · PRTRの制度を詳しく読む

ほかの読みもの

この記事は公開データと公的な資料をもとに書いています。健康や飲用の判断は、お住まいの水道事業者の最新の公表値をご確認ください。