PRTR法(化管法)。下水処理場が「何をどれだけ川に出したか」がわかる仕組み
2026-09-10 更新
化学物質の排出量を事業所ごとに届け出て公開するPRTR制度。対象物質、届け出る事業者、下水処理場が対象になる理由、データの読み方まで。
名前の意味
PRTR は Pollutant Release and Transfer Register の略で、日本では「化学物質排出移動量届出制度」と訳されます。根拠法は1999年の化学物質排出把握管理促進法、通称「化管法」です。有害性のある化学物質について、事業所がどれだけ環境に排出し、どれだけ廃棄物として外に移動させたかを、事業者自身が把握して国に届け出て、国がそれを集計して公表する仕組みです。
何を届け出るのか
対象は「第一種指定化学物質」で、現在515物質です。トルエンやキシレンのような溶剤、鉛やカドミウムなどの金属、ダイオキシン類などが含まれます。届出の対象になるのは、対象業種に属し、従業員21人以上で、対象物質を年間1トン以上(特定第一種は0.5トン)扱う事業所です。
排出先は「大気」「公共用水域(川・湖・海)」「土壌」「埋立」に分けて量を出し、公共用水域については放流先の名前まで書きます。廃棄物として外に出す量や、下水道に流す量も届け出ます。
なぜ下水処理場が入るのか
下水道業は対象業種の一つで、下水処理場は「特別要件施設」として取扱量に関係なく届出の対象になります。家庭や工場から集まった水に含まれる亜鉛、ほう素、ふっ素、マンガンなどは、処理しても一部が残って川や海に出ていくからです。上水道業は対象業種に含まれていません。
データはどこで見られるか
届出データは経済産業省と環境省が集計し、製品評価技術基盤機構(NITE)が事業所ごとの CSV を公開しています。届出の締め切りは翌年度の6月末で、公表は翌々年の2〜3月です。このサイトの下水処理場の情報(名前、所在地、放流先、主な排出物質)はこのデータから来ています。
読むときの注意
届出の量は「年間の推計値」で、濃度ではありません。大きな処理場は処理する水の量が桁違いに多いので、濃度が低くても年間の量は大きく見えます。また、届出は事業者の自己申告で、対象物質以外は含まれません。
個々の物質の影響や浄水場での処理は、川に流れる化学物質の解説にまとめています。
ほかの読みもの
この記事は公開データと公的な資料をもとに書いています。健康や飲用の判断は、お住まいの水道事業者の最新の公表値をご確認ください。