ご飯は軟水、パンは中硬水。台所の水と発酵のはなし
2026-09-10 更新
米を炊く水、パンをこねる水、味噌や麹を仕込む水。硬度が料理に効く理由と、酵母や乳酸菌との関係をやさしく。
ご飯は軟水でふっくら
米は水を吸って炊き上がるので、水の性格がそのまま出ます。硬度の高い水ではカルシウムが米の食物繊維と結びついて、粒が硬くパサつきやすくなります。軟水(硬度 60 mg/L 未満)で炊くとふっくら仕上がるのはこのためで、日本の炊飯文化も軟水前提です。最初に米が吸う水が一番影響するので、研ぎ水や浸す水に気を使うと違いが出ます。
パンは、酵母が元気になる中硬水
パン生地は逆で、硬度 50〜150 mg/L くらいの中硬水が向きます。カルシウムがグルテンを引き締めて生地がだれにくくなり、ミネラルが酵母の栄養になって発酵が安定します。極端な軟水(30 mg/L 未満)だと生地がベタつき、極端な硬水だと発酵が遅れて硬いパンになります。ヨーロッパのパンが日本で再現しにくい理由の一つが水です。生地の中で水と小麦粉に何が起きているかは、製パンの専門家、吉野精一さんの『パンの科学』にあります。
味噌・麹・醤油は、鉄を嫌う
麹菌や乳酸菌は水の硬度にはあまりうるさくなく、軟水から中程度の水で問題なく働きます。ただし鉄は別で、鉄分の多い水で仕込むと味噌や醤油の色が黒ずみ、風味も落ちます。酒造りと同じ理由です。残留塩素も菌の働きを弱めるので、一度沸かして冷ました水か浄水器の水が基本です。
相性チャートの計算
このサイトの「相性チャート」では、ご飯は硬度 60 mg/L 未満と塩素の少なさ、パンは硬度 50〜150 mg/L と塩素、味噌・麹は硬度 100 mg/L 以下と鉄 0.05 mg/L 以下で5段階にしています。同じ街でもご飯向きとパン向きは逆になりがちなので、両方高い街は珍しい「万能の水」です。
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ほかの読みもの
この記事は公開データと公的な資料をもとに書いています。健康や飲用の判断は、お住まいの水道事業者の最新の公表値をご確認ください。