日本酒の仕込み水と水道水。鉄とマンガンが「酒の敵」と言われる理由
2026-09-10 更新
灘の宮水と伏見の水はなぜ名水と呼ばれるのか。酒造用水の基準、鉄・マンガンが嫌われる理由、軟水と硬水で酒質がどう変わるかを整理します。
酒の8割は水
日本酒の成分の約8割は水で、仕込みに使う水の量は米の重さの20〜30倍にもなります。だから昔から酒蔵は良い水の出る土地に集まり、水を「仕込み水」と呼んで大切にしてきました。
酒造用水の基準は水道水より厳しい項目がある
国税庁の技術指針が示す酒造用水の目安では、鉄は 0.02 mg/L 以下、マンガンは 0.02 mg/L 以下が求められます。水道水の基準(鉄 0.3 mg/L、マンガン 0.05 mg/L)よりずっと厳しい値です。鉄は酒の色を赤茶けさせ、香りを損ない、マンガンは光による劣化を早めるからです。アンモニアや硝酸、有機物も少ないほど良いとされます。
逆に、カリウム・リン・マグネシウムは酵母の栄養になるので、適度にあった方が発酵が元気に進みます。
宮水と伏見の水
兵庫県灘の「宮水」は硬度が 100〜180 mg/L の硬水で、鉄がほとんど含まれず、リンやカリウムが豊富という理想的な水です。発酵が力強く進み、キレのある辛口の酒になります。一方、京都伏見の水は硬度 60〜80 mg/L 前後のやわらかい水で、発酵がゆっくり進んでまろやかな酒になると言われます。どちらも「鉄が少ない」点は共通です。
書名に水・米・麴の順で並ぶ『最新 日本酒の科学』(和田美代子・高橋俊成)は、酒造りで水に何が求められるかを醸造の科学から書いたブルーバックスで、2025年に改訂されました。
相性チャートの計算
このサイトの「相性チャート」の日本酒の欄は、鉄とマンガンの少なさを最も重く見て、硝酸態窒素の少なさと、硬度が 30〜180 mg/L の範囲にあるかを合わせて5段階にしています。実際の酒蔵は自前の井戸を使うことがほとんどなので、これは「この街の水道水で酒を仕込んだら」という遊びの指標ですが、鉄の少ない街は水そのものが澄んでいることが多く、飲み水としても良い目安になります。
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都道府県や街の名前で絞り込めます。
ほかの読みもの
この記事は公開データと公的な資料をもとに書いています。健康や飲用の判断は、お住まいの水道事業者の最新の公表値をご確認ください。