コーヒーに向く水道水とは?SCAの基準と、街の水の読み方
2026-09-10 更新
硬度・蒸発残留物・ナトリウム・pH・塩素。コーヒーの専門団体が示す「良い水」の範囲と、あなたの街の水道水がそこに入るかの見方。
純水では、おいしくならない
コーヒーの成分の 98%以上は水ですが、意外なことに純水(ミネラルゼロの水)で淹れるとぼんやりした味になります。カルシウムやマグネシウムが、コーヒー豆の香り成分を引き出す役目をしているからです。逆にミネラルが多すぎると、苦みや渋みが強く出て、エスプレッソマシンには石灰が付きます。
専門団体の目安
SCA(スペシャルティコーヒー協会)が示している「抽出に向く水」の目安はこうです。
| 項目 | 理想 | 許容範囲 |
|---|---|---|
| 蒸発残留物(TDS) | 150 mg/L | 75〜250 mg/L |
| 硬度 | 68 mg/L | 50〜175 mg/L |
| アルカリ度 | 40 mg/L | 40前後 |
| pH | 7.0 | 6.5〜7.5 |
| ナトリウム | 10 mg/L | 10以下 |
| 塩素 | 0 | 0 |
このサイトの街ページの「相性チャート」は、この表の硬度・蒸発残留物・ナトリウム・pH を街の年間平均値と照らして5段階にしたものです。塩素だけは水道水ならほぼ必ず入っているので、点数には入れず、備考として残しています。
日本の水道水はどうか
日本の水道水の硬度は中央値で 39 mg/L、蒸発残留物は 100 mg/L 前後の街が多く、SCA の許容範囲の下限あたりに位置します。つまり「やや薄い」寄りで、香りは出やすいがコクは出にくい傾向です。硬度 60〜100 mg/L の街は、そのままでバランスが良い水と言えます。
深井戸水の街は硬度も蒸発残留物も高めで、範囲のど真ん中に入ることが多いです。逆に火山地帯の湧水の街は硬度 10〜20 mg/L で、軽やかな味になります。
塩素だけは抜く
残留塩素はコーヒーの香りを確実に損ねます。沸かした直後のお湯を使うより、一度沸騰させてから少し置く、または活性炭の浄水器やポットを通すだけで十分です。ミネラルは残したまま塩素だけ抜ける方法が、水道水を活かす一番簡単なやり方です。
コーヒーの味がどこで決まるのかを、焙煎から抽出まで化学の言葉で書いたのが、旦部幸博さんの『コーヒーの科学』です。水の話はその一部ですが、ミネラルが香りを引き出すという最初の段落の背景がここに書いてあります。
📖 この話題を本で読むなら:水の性質を扱った本
都道府県や街の名前で絞り込めます。
ほかの読みもの
この記事は公開データと公的な資料をもとに書いています。健康や飲用の判断は、お住まいの水道事業者の最新の公表値をご確認ください。