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名水百選に選ばれた水は、飲めるとは限らない

2026-09-20 更新

環境省が選んだ200か所の湧水と清流。選定は水質のお墨付きではなく、環境省自身が飲用に適することを保証するものではないと書いています。何を基準に選ばれ、そのうちどれだけが実際に水道に使われているのか。

街のページを開くと、水源の節に「💎 名水百選」と出てくることがあります。全国1,747市区町村のうち185、10市区町村にひとつの割合です。

この印を見て「ここの水はきれいなんだ」「じゃあ水道水もいいのかな」と思うのは自然な受け取り方ですが、選定はそういう意味ではありません。選んだ環境省自身が、名水百選のページに「『名水百選』も『平成の名水百選』も飲用に適することを保証するものではありません」と書き、飲む場合は所在の自治体に確認するよう求めています。

何を選んだのか

最初の100か所は昭和60(1985)年3月に選ばれました。環境省(当時は環境庁)の説明では、全国にいろいろな形で存在する清澄な水を再発見して広く紹介し、水質保全への認識を深めてもらうこと、優良な水環境を積極的に保護することが目的でした。

平成20(2008)年には、もう100か所が「平成の名水百選」として加わり、合わせて200選になりました。こちらは「地域の生活に溶け込んでいる清澄な水」で、とくに地域住民などによる主体的で持続的な保全活動が行われているものが選ばれています。昭和の百選が水そのものを見ているのに対して、平成の百選は、その水を人がどう守っているかを見ている、と言い換えてもいいかもしれません。

だから選定資料には、水の成分よりも、掃除の当番や祭りの話がよく出てきます。岩手県盛岡市の大慈清水・青龍水は、一番井戸が飲み水、二番が米を研ぐ水、三番が洗い物、四番が足洗いと決まっていて、明治8年にできた用水組合がいまも毎週掃除をしています。福井県大野市の御清水も、上流から順に飲料水、果物などを冷やすところ、野菜などの洗い場と使う場所が定められ、その名残が不文律として住民に受け継がれています。

水道水源とは限らない

選定資料をひとつずつたどると、簡易水道や上水道の水源として使われていると書かれているのは、全体の4分の1ほどにとどまります。残りの大半は、湧き口で汲む水、農業用水、養魚場の水、あるいは神事の水として扱われています。

つまり、街のページに名水百選の印が出ていても、蛇口から出てくるのが同じ水だとは限りません。同じページの「水源」の節に出ている割合のほうが、その街の水道水の中身です。

逆に、選定資料が水道との結びつきをはっきり書いている街もあります。北海道東川町には上水道がなく、大雪山国立公園の森から1日6,566トン湧く水を住民が生活用水として引き、稲作にも使っています。岩手県岩泉町の龍泉洞の地底湖の水は、町の中心部1,600世帯以上の水道水です。愛媛県西条市の旧市街地にも水道の施設がなく、それぞれの敷地に打ち抜いた自噴井「うちぬき」が約2,000本あって、そのまま飲用と生活用水になっています。

汲んで帰るとき

選定資料のなかには、水質について率直に書いているものもあります。青森県平川市の渾神の清水は、容器で持ち帰った水は生水なので必ず煮沸してから使うように、と注意が添えられています。福岡市の不老水も、認定当時に比べて水量が減っており、飲む場合は煮沸が必要だと案内されています。

名水百選は水質検査の結果を示す制度ではなく、選定から40年たったものもあります。汲んで帰るなら、その場の掲示と、所在の自治体の案内を見てください。

出典: 環境省名水百選ポータル、環境省選定名水百選・平成の名水百選の各選定ページ。街ごとの記述は、それぞれの街のページに出典リンクを付けています。

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この記事は公開データと公的な資料をもとに書いています。健康や飲用の判断は、お住まいの水道事業者の最新の公表値をご確認ください。